狗×SHIKI Model No.02 レビュー

狗×SHIKI Model No.02

どうも。毎回久しぶりのレビュー回です。
今回は自作ハイブリッドイヤホン狗×SHIKI Model No.02(バイアンプ仕様)です。
本当は6月下旬くらいにファーストインプレッションを書こうと思っていましたが、単にサボっていたので、一気にレビューって事で。

過去の記事でRCA-ステレオミニ×2を作ったりしていたので、勘の良い方は気づいていたでしょう。


本体仕様、御値段等はこちら http://hakuhatuken-audio.seesaa.net/article/269992225.html
バイアンプ仕様はケーブル代が別途必要。
Roothケーブル×2=11,000円
JH-3Aケーブル=20,000円
納期は注文から約1ヶ月でした。

以下見た目。


狗×SHIKI Model No.02
意外にも外箱も拘ったものでした。個人製作モノだと外箱無しのイメージがあったので。
ただし、写真を見てもらうと分かる通り、フォームの溝通りに本体とケーブルを納めることはほぼ不可能。
無理矢理収めようとするとケーブルに負荷がかかります。
このフォームは何か別のものを流用したのかな?


狗×SHIKI Model No.02
本体。
祭での感想と同じく、造りはかなり綺麗です。
イヤーピースは耳垢ガードが付いたコンプライのTx-500シリーズ。
サイズ的にはコンプライの500番台が装着できれば他のものでもはまりますが、後術するBAドライバ保護の点でTx-500シリーズオンリー。


狗×SHIKI Model No.02
本体内部。TWFKが見えます。
前述のTx-500オンリーの理由は、このようにドライバがむき出しの状態だからです。


狗×SHIKI Model No.02
プラグ側。バイアンプ仕様のためプラグは2つ。
黒いカバーの付いたほうが低域側。シルバーは高域側。
欲を言えば、ニッケルメッキではなく、金メッキされた方を使ってほしかった。
プラグ側ケーブルにはスライダーが付いているが、これは元々イヤホン側分岐部に付いていたものかな?
そのため、イヤホン側分岐部にはスライダー無し。


ではレビュー本題。
試聴環境はReference-7.1 - AHA-120
基本的に通常版のように接続した状態で行います。(1つのアンプからヘッドホン出力にミニプラグ-ミニジャック×2のアダプタを使用)
因みに、私の個体は低域を少し引き締める方向で調整してもらったものです。
製作者様が私の祭での試聴レポをご覧いただいていたらしく、調整の提案がありました。
音に関しては製作者様の意図がある事は理解していましたが、せっかくなので、あまり極端ではなく少しだけとお願いしました。


各音域の音量バランス:
低域>>高域>中域
低域寄りのドンシャリ。
低域はローエンドも含めかなり量が多く、MerlinやTS842より多い。また、強調される範囲もこの2種より広い。範囲的にはAUD-5Xの低域に近い。より中低域側まで強調されている。
低域と高域で不等号を2つ使っているが、D型・BA型と分離されているので、高域が低域にマスクされるということは無い。高域も量は結構出ている。
中域は少々凹み気味。低域の量に圧倒されている感がある。


各音域の質
高域:
荒々しく、刺激的な音。繊細という傾向ではない。
Merlinのような刺激的かつある程度の繊細さがあるという感じではなく、派手さ・迫力を重視した音。線も太めに感じる。
その質から、刺さりやすい傾向でもある。
このあたりはドライバがむき出しであること(=音響抵抗が使用されていない)も関係していると思う。
ダイレクトに音が届き、エネルギッシュではあるが、荒さが目立つのも正直なところ。
かなり人を選ぶ音。


中域:
低域に押され気味ではあるが、厚みはある。
DドライバとBAドライバの音が重なっている部分があるが(イヌシキに限らずほとんどのマルチドライバIEMにあります)、量もあってかどちらかといえばDドライバ側の印象が強い。そこにBAの音が乗っかっているという感じ。
曇った音ではないが、透明感があるという音でもない。どちらかといえばDドライバの迫力が目立つ傾向。
構成上当たり前だが、中高域側に行くにつれてBAらしい音になっていく。ただし、やはりBAでも繊細というキャラクターではない。
MerlinやTS842の中域はBAの音のほうが目立つ。


低域:
このイヤホンで最も量ある帯域で、全体の印象も低域が支配的。
周波数が高くなるにつれて減衰していく傾向ではあるが、ある程度までは減衰量が少なく、そこからなだらかに減衰していく印象。そのため、中低域まで量は多め。
ローエンドの量もかなりのもの。BAの低域とは全く違う質で、バスッと空気が揺れるような感覚。MerlinやTS842と比較しても圧倒的な迫力がある。
硬い質ではないが、低域を調整してもらったこともあって量の割りにボワボワというわけではない。
Merlin・TS842よりは余韻が多いがIE8よりは締まりがある。
IE8のような柔らかい質とはちょっと違い、押し出しの強さやその迫力からかなりエネルギッシュでマッシブな印象。
ソースによってはDドライバの振動を装着している耳で感じ取れるほど。


音場:
普通~広い
Dドライバ側の低域が背景を包み、立体的な感覚。その内側にBAドライバの中域~高域が配置される感じ。
ソースによっては中域が凹んでしまうこともある。
横への広さではなく、奥行きへの広さが印象的。


解像度:6+
元々カスタムIEMのようにモニター用途で設計されたものではないので、こんなものかと。
細かい音を拾うという性格ではない。
BA型のTWFKを使っているものの、やはりそういった質ではない。
しかし、解像度が低くて気になるというものでもない。迫力や音場で音楽を楽しむという音造りだと思う。


その他:
本体の造り自体は綺麗で文句は無いが、少々サイズが大きく、深めに装着した状態で長時間使用すると耳穴が痛くなってくる。イヤチップのサイズというよりステム自体特別長くないので、深く装着すると必然的に本体の大きさが耳穴に掛かってくる。
ケーブルはJH-3A用を加工したものだが、本体~分岐部までが長くスライダーが無いため、屋外での使用時は取り回しが少し悪い。また、本体から出るケーブルはそのまま下に降りる形になっており、ケーブル耐久性の面でちょっと気になる。どちらもHiDefJaxと同じような形になっている。
また、左右の識別が本体には無く、説明も無かったのではじめはどちらか分からなかった。分岐部を良く見ると側面に穴が開いており、そちらが右側。で合っているはず。特定のソースを他のIEMで聴いて確認すれば判別できる。
もしかしたら、他の個体では穴と逆側が右chになっている可能性も無くは無い。
遮音性はコンプライを使ったユニバーサルと大差は無い。カスタムよりは悪い。
音漏れは少しだけあるが、常識的な音量なら周りに迷惑をかけることは無いだろう。


総評:
狗×SHIKI Model No.02
迫力・音場を重視した低域寄りのドンシャリイヤホン。
低域の量・空気の震えるような感覚・押し出しの強さが特徴的。
完全にリスニング寄りの音。
このイヤホンはスピーカーの音を元に設計されたらしいが、まともなスピーカーを聴いたことが無い私としては、失礼を承知して言うと、ヘッドホンのような鳴り方と感じた。
そのため、カスタムIEMのような性格を求めている人には全く合わないだろう。
以前から言っているように、私は基本的にBAドライバ、カスタムIEMの音が好きです。
自分に合っているかというとそうではないが、私はDドライバIEMだって好きだし、ヘッドホンも好きです。
特に珍しい音がするイヤホンは使い分けの面でもコレクションの面でも興味深いものです。

また、ここまで言っておいてなんですが、評価するには最大の特徴であるバイアンプ仕様を考慮に入れなくてはなりません。

狗×SHIKI Model No.02
接続にはこのような出力を2分岐するケーブルか、アダプター+ケーブル2本が必要です。


狗×SHIKI Model No.02
接続例1
低域:AHA-120 / 高域:uHA-120
スッキリ・フラット重視の組み合わせ。
元の音が迫力重視なので、中途半端になってしまうという短所も。


狗×SHIKI Model No.02
接続例2
低域:MiniBox-ES / 高域:c421
コンパクトさを重視しつつ、性格の異なるアンプを合わせたもの。
MiniBoxで迫力とパワフルさを、c421でやり過ぎない程度に派手さ・元気のよさを伸ばした組み合わせ。
なかなか良いです。低域側をArrowに変えるとよりコンパクトになりますが、個人的にはMiniBoxを合わせたほうが面白い音がすると思います。


狗×SHIKI Model No.02
接続例3
低域:PMA / 高域:AHA-120
サイズ無視の大型コンビ。
低域は音場・迫力共に底上げ。高域は伸びと繊細さがイヤホンの刺激と上手い具合で合います。


バイアンプの利点は、特性的なことは置いといて、組み合わせの楽しさ・低域と高域を別々に調整できることが大きいです。
とにかくいろいろな組み合わせを試すのが面白い。
また、特に中高域の性格がアンプによって結構変わるので、非バイアンプ時と比べて全体の印象を大きく変えることができます。
ただし、短所も。
見ての通りアンプが2つ必要で、携帯性が失われてしまう。低域・高域どちらかをDAPのイヤホン出力を使えば、アンプは1つで済むこともありますが、DAPによってはイヤホン出力とライン出力の同時使用ができないものもあるかも知れません。
DX100は同時出力可能ですが、ラインアウトもボリュームが連動してしまうので調整が少し面倒です。
そしてもう一つ。
低域と高域を個別に調整することは可能ですが、フラットな音を作ることがほぼできないということ。
Dドライバ単体の特性は右肩下がり。BAドライバはハイパスを掛けた右肩上がり。
ちょうど中域のポイントでディップあり、多かれ少なかれ凹みができてしまいます。
中途半端に高域のボリュームを絞るとDドライバの中域~高域が干渉してしまい、曇りができてしまいます。この状態だと、BA側のボリューム0%で、Dドライバだけの方が中高域が聴こえます。

ところで、BAドライバ側にはハイパスを掛けていると分かりますが、Dドライバにはローパスを掛けているのでしょうか。
たしかに右肩下がりですが、割と高域まで聞こえるんですよね。

追記:製作者様によるとクロスオーバーレスだそうです。Dドライバの調整は構造的に、BAドライバは素の状態でそういう特性なのでしょう。

で、バイアンプ仕様を考慮に入れた総評としては、かなり個性的で、とにかくアンプ交換が楽しい唯一無二の音を作れるイヤホン。ということで。
バイアンプ仕様のイヤホンなんて普通のメーカーが作るはずも無いので、面白い試みだと思います。この辺は個人ビルダーの強みかな。かなりマニアックなものを作ってくれる。

最後に長所と短所を。Head-fiのレビューでも見かけたような気がしますが、やっぱりあったほうが書く側も読む側もまとめられるし。

長所
・低域の量、沈み込み、迫力、パワー
・高域の刺激、荒々しさ
・奥行きのある音場
・カスタムIEMに無い表現の仕方
・バイアンプ仕様の面白さ、珍しさ
・本体の造りの良さ

短所
・低域の量、BAと比べて制動が利いていない
・高域の繊細さが乏しく、刺さりやすい傾向
・中域の凹み
・ケーブル分岐部にスライダーが無い
・値段、特にカスタムIEMのような解像度や正確さを求める人、バイアンプ仕様に価値を感じない人にとってはかなり高額


といったところでしょうか。
個人的に改善を求めるとすれば、
・BAドライバに音響抵抗を使う or 付け外し・交換を可能にする
・クロスオーバーの改善
・分岐部スライダーの追加
・金メッキプラグの使用
・左右の目印をもう少し分かりやすくする
ですかね。


バイアンプイヤホンはとにかく楽しく遊べるものでした。
さて、次に新しい試みと来たら、やっぱりクロスオーバーを自由にいじれるイヤホンでしょう。と、個人的に思っています。
誰か据置きでもいいから作ってくれないかな。できればカスタムで。
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